溶連菌感染症について(A群溶血性連鎖球菌咽頭炎)
特徴:発熱、咽頭痛、時に発疹を伴う
発疹がでるとかつては猩紅熱といわれた病気で、A群溶連菌によって起こります。
幼児や小学生の間で真夏以外は年中どこかで流行するものですが、コロナ禍では他の感染症同様減少しています。
接触や会話中に唾液などの大型飛沫で感染します。家族に溶連菌感染症が1人出ると、兄弟や大人にまでうつることがあります。のどが痛いだけでも症状のある人は全員が同時期に治療できるよう、早めに病院で相談しましょう。
溶連菌には50種類以上の型があるため、何回もかかります。
症状:発熱が続き、細かい発疹が
急に38度前後の熱が出て、のどが痛みます。お腹を痛がったり吐くこともあります。3歳以下の子供が感染した場合は、鼻水やせきなどの症状を伴うこともあります。平熱や微熱の場合もあります。
発熱から1~2日たって、熱が高いまま、体にかゆみのある赤く細かい発疹が出ます。この発疹は、感染した人すべてに出るわけではなく、10%くらいの人に出るだけです。
ただ、発疹が出る人では、胸やお腹、わきの下、太もも、足など、いろいろな所に出ます。また、舌を見ると、初めのうちは真っ白なものの、発熱から1~2日で真っ赤ないちご舌になります。
熱は、抗生物質を使わないと高いまま2~5日続きますが、抗生物質を服用すると1日くらいで下がっていきます。発疹は、出始めてから3~7日で消え、その後、指先の皮がむけます。
注意:小児は合併症を引き起こすことも
溶連菌による咽頭炎は、抗生物質がよく効くので、今では怖い病気ではなくなっています。
ただ、3~17歳の小児・青年がかかった場合、診断が遅れて10日以上適切な治療がなされないと、まれに急性腎炎(むくみと血尿)やリウマチ熱(熱、関節炎、心臓弁膜症)といった合併症を起こすことがあります。
診断
迅速抗原検出テストで97%は診断できますが、疑いが強いのに陰性の場合は確認のため培養します。
治療・看護・通園、通学:薬をきちんと飲ませます
熱のある間は、かぜと同じ看護をします。抗生物質を飲み始めて1日もすれば熱は下がり、伝染性はなくなります。
熱が下がれば入浴してかまいません。抗生物質を飲み始めて1日以上たち、元気がでてくれば通園、通学してかまいません。治癒証明書が必要な場合もあります。
ペニシリンが第一選択とされていますが、ペニシリン薬10日間で85%、セフェム薬7日間で95~100%の除菌率なので私たちはセフェム薬を選択しています。2~3日飲むとほぼ治ってきますが、そこで治療をやめてはいけません。
合併症予防のため、処方された薬はきちんと最後まで飲ませるとともに、尿検査などの指示が出たなら、きちんと受けるようにしましょう。流行の菌型によっては腎炎をおこしやすいものがあります。
ペニシリン・セフェムアレルギーの場合マクロライド系(クラリスロマイシンなど)を使用しますが耐性菌も少なくないので注意が必要です。
尿検査:2~3週間後に尿をお持ちください。
G群溶連菌、C群溶連菌も同様の病気をおこしますが、リウマチ熱は合併しません。